■おまけ:P4U(2)ストーリーで感じた違和感の話
※要約:絆の暴力にウンザリした
・キズナ教おそるべし
P4U周りのストーリーでちょっとお粗末だなと感じたのが、絆によって充実した主人公サイドvs孤独でひねくれた悪役、という単純な二項対立でしかお話が作れていない部分です。
絆があるやつは正解で勝者、絆がないやつは不正解で敗者、というお安い絶対摂理には辟易しました。
友人がいるのはいいことですよ。それは間違いない。ただ、孤独の中で狂気を育み続けた人間にしか到達しえない境地があって、それもそれで無二の価値があると、あくまで私自身は思っていて、その境地にいたと思われるシャビリス・皆月(ミナヅキ)・足立が悉く「こいつも本当は絆が大事なのに素直じゃないんだ!絆を大事にしていればそんな風に悪者にはならなかったんだ!」みたいに結論づけられてしまっているのが残念でならない。
・皆月の孤独は皆月の責任か
特に皆月に関しては他人との交友関係なんて手に入れようもない人生だったわけで、おそらく幼少期からずっと人体実験の材料として飼われ、長い昏睡状態から目覚めて病院を抜け出し、稲羽に潜伏し続けるというやりすぎなぐらい悲しき過去…の相手に向かって絆がどうとか残酷なこと言うなや。別に皆月だって好きで人と交友を断ってたわけじゃないんだからさあ。
孤独だからといって異変を起こしていいわけないのは勿論そうなんですけど、皆月を止めるなら普通にボコってさ~らバイバイすりゃいいだけで、「あんたにも絆があったんや!」みたいなお説教を下す必要性が解りません。
というか二重人格である皆月とミナヅキの絆って、他人同士の交友関係と同列に並べていいもん?それを絆と決めつけていいなら、ラビリスだってずっとメモリの中でシャビリスとだけイチャイチャしてれば満足ってことにならない?
・シャビリスはラビリスの悪友?
シャビリスに関してはあくまでシャドウであり(サブメモリにずっと存在できてる辺り普通のシャドウとは違うようですが)、本体であるラビリスが他人との繋がりを欲しがっている以上、シャビリスもなんだかんだラビリスに従いツンデレな悪友のポジションに収まるのは仕方ないかなと思います。
シャビリス&ラビリスに関しては、「こいつも本当は絆が大事なのに素直じゃないんだ!」でまあ合ってるかも。
・P4本編と乖離する特捜隊
隙あらば合流して大人数でワラワラ群れて、孤独な相手をボコボコにして、「俺たちの絆を見せてやる!君にも絆があったらよかったのに!」なんて押しつけちゃう特捜隊の面々(特に鳴上)に全然ついていけなかった。バカ軍団とはいえそういう方向性の愚かさは見せてくれなくていい…。
P4本編でミツオや足立を倒した時にはそんなこと言ってなかったじゃん君ら。ミツオに対してはあくまで罪を詰問しただけで、その虚しく孤独な人生自体には誰も言及しない。ミツオに対してどう思うかは、あくまでプレイヤー自身の捉え方に委ねられているし、足立に対しても基本的にそう。社会や現実から逃げるなとは言えど、「あなたにも絆があれば~」みたいなことは言わない。
(※一応P4Gから追加された欲望コミュ9の部分で、主人公が足立に対して「仲間がいたから」と答える選択肢はある。自分は違う選択肢を選んだが)
足立と人の繋がり云々に関しては、P4本編の堂島が救急車を手配してくれた下りだけで充分だと思うし、その辺のバランス感覚がやっぱり本編は秀逸だぜ!となる所以っすね
・足立、孤独な大人であれ
あと足立がエピソード足立でちょっと絆堕ちしたみたいになってたのが純粋にショックでした。
別に番長一人でカグツチ倒す展開でよかっただろ。足立は皆月とカグツチにちょっとダメージ入れて、僕の仕事はもう終わったから、あとは君が勝手にやれば~?なんて言って、カグツチへのとどめを番長に任せて去っていくぐらいがちょうどよかったと思う。それならP4本編を経た後の、足立から番長へのほんの少しの信頼と、足立の面倒くさがりな性格の表現とが両立できたのでは。ダークヒーローなんかにならなくていい。本編後の、ちょっとだけ大人になった部分を見せてくれればそれで。
というか足立のストーリー自体いる?って感じではある(じゃあここまでの長文なんだったの)。
・EP足立はイイハナシカナー?
あとまあ…堂島と足立のイイハナシダナ-な関係が成立し得るのはやっぱり事件前の短い期間(2011年の3月)だけだなと思いますね。殺人を犯すこと自体がもう足立から堂島への最大の裏切りなんだから、その後どれだけ堂島を慕っている描写があろうがもう絶対に相容れない。こうやった後続作品でお涙頂戴展開的に取り繕われても興ざめというか…。
取調中、堂島を愚弄された足立が珍しく感情的になるシーンがありますけど、お前にキレる権利はない。堂島が8か月間菜々子を放置してまで捜査に当たる羽目になったのも、結局解決できなくて無能扱いされてるのも、パトカーで事故って大怪我したのも元を辿れば(意図的ではないにせよ)足立のせいなわけで、そんな立場のヤツが堂島さんをバカにするなー!って言ってもねえ。陰口叩くのなんかよりよっぽど酷いことしてたんだぜコイツ。
これはP4G本編でも思いましたけど、部下が殺人犯だったことに対して堂島が失望や怒りの感情を見せていないのが個人的にはかなり違和感。なんで許されたみたいになってるんだ…?足立、頑張ってムショでお勤めしてこいよ!お前ならできる、応援してるぞ!的なね。なんでだ。ヤクザか。堂島の龍ってか。
・おまけ①:みんな番長と対になりすぎ
つーか番長と(立場やデザインが)対になってるって設定のキャラ何人いるんだよ。公式関係で言及されてる中では陽介・雪子・足立・皆月がそうですけど(もっといるかも?)、番長は多面鏡か何かか。
・おまけ②:P3とP4の世界観って食い合わせ悪くね?
P4の世界観は、ややアニメ的な雰囲気を帯びていることを除けば、基本的にメチャクチャ現実的です。日本の、なんか山梨県っぽい田舎町の公立高校で、周囲との関係やアイデンティティに悩む高校生たちがメインの話です。殺人事件の犯人追求が目的です。町で一番デカい権力は警察(稲羽署)です。
…そこに急に対シャドウ兵器の美少女ロボだのシャドウワーカーだの黄昏の羽根で人体実験だの…ミスマッチにもほどがありません?P4のみんなスッと受け入れすぎだろ!
足立のナビボイスがツッコんでくれて助かりました。(「君ロボットなの?ははっ、マンガみたいな話だねえ」「ロボット少女で兵器って、完全にSFの世界でしょ」)
やっぱり足立がナンバーワン
こんなにいろいろ書いてあれですけど、ゲーム自体は本っっっ当に楽しいです。オススメです。星5です。システムもグラフィックも音楽も最高です!
ストーリーモードも、スチルやアニメーションはとてもよかったんで、原作ファンなら全然楽しめるかなと思います。自分みたいにぐちゃぐちゃ考えず一周するだけなら。