
日頃培った足立へのアレコレを書いちゃおうのコーナーその2。
好き放題書いた散文ですから、出来の方にはご寛恕を…
■声について
足立を好きな方が口々に言うことといえば、声が良いということです。厳密にいえば、声質だけじゃなく喋り方や抑揚、何より演技力…それらをひっくるめて好きなんでしょう。
超分かります。蝶分かります。武装錬金のアニメ、どこかで配信してくれ…
私は、ペルソナ4をプレイするまで殆ど作品の中の声、及びその発生源である声優さんというものについて意識したことがありませんでした。アニメは脚本と作画にしか興味がなかったし、ゲームもボイスのないインディーか零細ソシャゲをメインにやっていたので、世間一般のオタク達が世界の常識かのように語る、メジャーな声優さんの名前もよく知りませんでした。
今だって、興味のないものは知らない。プロサッカーというものがあるのは知っているけれど、今すぐサッカーの選手を五人挙げろとか言われたら一人も挙げられない。声優さんについてもそういう状態でした。
初めて声優さんというものを意識したのは足立……じゃないんだなこれが。
Life Is Strangeというゲームの、クロエ・プライスという登場人物の日本語音声でした。

↑ この人。
足立語りではなくクロエ語りになっちゃうので詳細には書きませんが、声色と調子というものがキャラクターの台詞に如何に効果的な味付けを与えるか、ということをよくよく教えてくれたキャラクターでした。
そして私は、「Steamで安くなってたから」「世界樹4を作った会社のゲームだから」という理由で、ある日突然縁もゆかりもないP4Gを購入しプレイします。
いやみんな声がいいな。究極的に良い。
なんかイケボ~とかなんかカワイイ~とかじゃなく、そもそもそのキャラから出てるとしか思えない声と喋り方をしている。あと似てる声が居ない。
元気系でちょっといじらしい女友達の最終到達点が千枝ちゃんの声だし、
清楚系変人女将キャラの最良パターンが雪子の声だし、
くたびれダンディ不器用刑事の大正解が堂島さんの声だし、
不憫で年相応に素直な妹キャラの至高天が菜々子の声だし、
しょうもないプライドと確かな狡猾さを併せ持つ凡人兼狂人の自称エリートポンコツサイコパス公務員キャラのK点が足立の声だわ。各分野の最高点がこのゲームに集まっているのだ!!!
ということで、確かな実力を兼ね備えた声優陣が揃ったP4の中でも特に私の耳目 (耳だけだろ) を引いたのが足立の声だったわけです。そしてその声に見合うだけの秀逸なテキストね!P4原作の足立のダイアログには一切の無駄がない。矛盾もない。
自分は声を理由にキャラクターを好きになることは無いのですが、既に言動面で好きなキャラクターをより好きにしてくれるのが声なんだと思います。雪子や完二なんかもあの喋り声がよりキャラクターを魅力的にしていると感じる。P4がほぼフルボイスのゲームで本当に良かったです。

原作のここ、作中で初めて足立の黒い声が聴けるシーンで、たいへん印象的です。
正体を知ってるとブラックジョークなのも好き。殺人容疑なのはお前や
P4A系列のドラマCD「You’ll Understand~」における「シートベルト忘れないでね。警察が警察に捕まるとか、笑えないからさ」もシニカルな笑いがあって良いです。


この辺にボイスついてないの、世界の損失すぎると思いません?
「うははっ!」とかいうここでしか出ない笑い声がどういう調子だったのか聴きたいだろうが!おそらく足立史上最も本人の心の核に迫った瞬間であろう「…果たしてそれは純粋な正義感なのか?」の声色を聴きたいに決まってるでしょうが!!
アトラスは今すぐP4Rを制作してここをフルボイスにしてもいい。
しなくてもいい、という選択肢はない
最近BBTAGを購入し足立のボイスを堪能しようとしたらゲーム中にボイスギャラリーモードがなくて一気にやる気が失せてしまった、それが私です。U2では(不便な仕様だけど)一応あったのに何故…?私は足立とラビリスの音声確認のためだけに買ったのに何故こんなむごいことを…?アークは今すぐボイスギャラリーを実装してください。はやくきて~はやくきて~
声自体は流石にだいぶ変わっちゃってましたね。
足立は永遠の27(28)歳だけど声優さんは生きてるから仕方ない。永遠に生きて永遠に足立の声をやってほしい
それよりも、BBTAGの足立がやたら他人の正義を試したがるマンになってたことの方が気になる。それしか引き出しの無いキャラみたいになってるじゃないの。単純化自体は他の面子でも著しく起きてましたが。声が良くても台詞が陳腐じゃいかんわな…。
あの登場人物たちの本物の輝きは、やっぱりP4原作にだけあったのだと改めて思いましたね。
人物造形という面において、あのバランスは奇跡だった。
■おまけのトリビア

そんなの足立検定4級ぐらいの基礎知識だろって言われそうなトリビアですが、足立が主人公(及びプレイヤー)に向かって言う“別れの言葉”には法則性があったりします。
・P4Gトゥルーエンド → さよなら
・P4G共犯者エンド(未遂) → …さよなら(全パターン共通)
・P4G共犯者エンド(完遂) → またね
・P4U2クリアボイス → じゃあね
それ以外のシーンでは、原則として「じゃあね」「それじゃ」が多いです。「またね」は共犯者エンドでしか聞き覚えが無い…。
まあ現実でもあまり”さよなら”って使いませんよね。今生の別れ感ある。”またね”も、友達同士ならともかく仲良くもないデカ男二人の間で使うにはベタついています。逆にいえば、足立がその特異な二つを使う別れのシーンには何か「ただ別れた」以上の強いニュアンスが付与されているということでしょう。
ハレの時はさよなら、ケの時はまたね、中間はじゃあね、という使い分けでしょうか。足立と主人公の縁がスッパリ切れるのがお互いにとってのハレであり、”また会う”ことを約束するような関係になるのはケ。統一感があって大変よろしいですね。
ちなみにP4U2の下Dのボイスは「さよ~なら~」です。
ドラマCDでは「お邪魔しました~ (堂島家から退出)」「それじゃあね (立ち去る)」「じゃ!本官は勤務中なので、失敬 (退店)」など謎にバリエーション豊かでした。最後の「失敬」はビシッと敬礼しながら言ってそうで愛くるしい。足立がコメディシーンで偶に出すオッサンっぽい声は、あえて力んだ時に出るもんなんですかね。かわいいぜ…

P4U2のクリアボイス「じゃあね」は、作中のキャラを介さずプレイヤー自身に直接語り掛けているという点でちょっと特殊です。これは足立だけが第四の壁を突破しているというわけではなく、他のキャラも大半がそうです。(「あなたとは相性がいいかも」「またお前と共に戦いたい」的なことを言ってくる)
クリアボイスの全文を文字起こしして載せちゃうと、
へーすごいすごい、やるじゃない!
調子に乗ってるやつらを黙らせるっていうのは気持ちいいよねえ
久しぶりに楽しめたよ。じゃあね…
とのこと。
この文の要になっている部分は「調子に乗ってるやつらを黙らせるっていうのは気持ちいいよねえ」だと思うのですが、つまりこれはプレイヤー自身の行いそのものを褒めているのであって、プレイヤー自身に対する感情は極めて希薄です。「誰かが、僕にとっての”面白い行動”をしてみせたので楽しめた」という事実を述べているだけ。
ベツニ オレジャナクテモ イインダヨナ……(メンヘラケルベロスになっちゃ~う
メタ的なことを言ってしまうと、P4GにしろP4U2の各モードにしろ、難易度にこだわらなければクリアまで行くこと自体は誰でもできます。そしてP4(G)を買えば、誰でもあの主人公を操作して最終的には足立を倒せます。
その事実を無視して「君だからできたんだ、君は素晴らしい」なんて無責任で白々しいことは言いたくないのかもしれませんね、足立は。ある意味お行儀がいいともいえるし、他人行儀ともいえる。自分を楽しませてくれれば誰でもいい、僕が評価しているのは行動そのものだけなんだよ、という。だから「君の事を特別に思っているから、失敗しても許してあげる」みたいな甘さは一切ない。最高最高最高
足立ナビのボイスでも、この姿勢は通底しています。とはいえ「君って意外とせっかちなんだね」とか言ってくるのでまだプレイヤーを認識してはいる。ただ、後退しすぎてネガティブペナルティをつけられた時の「ビビるぐらいなら、最初から出て来んなって」はどう足掻いてもセコンドの言動ではない。完全にお客さん気分です。お客さん気分。足立ナビをもっとも端的に言い表した言葉かもしれない…。

P4Gのエンド選択によって「さよなら」「またね」という真逆の言葉が出るのは、シナリオ上で取れる選択肢の少ないペルソナ4という世界の中で、ハレの選択肢を取ったプレイヤーへのせめてもの称賛なのではないでしょうか。そしてケの選択肢を取ったプレイヤーへのささやかな抵抗。堂島さんや菜々子ちゃんを見捨てて僕を庇おうが、僕は君に靡いたりしないよ、何勘違いしてんの?という…
P4の主人公になること自体は誰でもできる。だから何の評価もしない。
エンディングを選ぶこと、格ゲーの試合で勝つ/負けることはプレイヤー自身の介入あってのことです。だから足立は褒めるなり貶すなり、その行動そのものにスタンスを表明してみせるのでしょう。あれ、足立って結構メタい存在だな。
では、このへんで…またね。