
(ネタバレめっちゃある)
バカには書けないピカレスク
バカが書いたらこうなった
って感じのシナリオでしたね。ツッコミ所のミルフィーユヘイお待ち!
他人にバカとか言うのよくないって?90時間の間クソみたいなシナリオを見せられたんだから2文字ぐらい言わせてくれや…
シナリオ方面の評判が悪いのは百も承知で始めた今作ですが、いやーここまでひどいとは。つまらないどころか気分が悪くなる、根底から狂ったシナリオ。ゲーム部分も弱点突いて総攻撃するだけのやり飽きたシステムだし、正直中盤以降は完全にコンコルド効果で続けました。ただ、よかったと思う部分もあったのでそれについても書いておこうと思う。

カッ
(ブチッよりこっちのほうがかっこよくない?)
■メインシナリオ
いい部分が一つもない。P4発売後に8年溜めてこれが出てきた事実に笑ってしまう
「現代日本で学生が怪盗をやって賞賛される」という無理のあるコンセプトのために、あまりにも多くのものが犠牲にされすぎている。応援したくない仲間、倒し甲斐のない敵。
・怪盗って悪くないの?→敵はみんな悪人だから怪盗の方が正義 (何を言ってるこのバカは?)
・大人を信用できないのは何故ですか?→大人はみんな欲に溺れた悪人だから (※ただしコープ相手を除く)
・どうして警察を騙せたのですか?→警察はどうしようもなく腐敗してて死体すら確認しないガバさだから
・どうして大衆は最終的に怪盗団を応援してくれたのですか?→大衆は愚かだから
あんまりクラスに馴染めてない中学生が夜に妄想する世界観じゃん……
ちょっとした設定も、ただガワだけが先行して、理屈が全く伴っていない。
本名知ってる相手とジョーカーだのクイーンだの呼び合うの、恥ずかしくない?
・どうして怪盗なのですか→ピカレスクだから
・どうして怪盗服になるのですか→なんかパレスの主に警戒されるとそうなるから
・どうして武器を持っているのですか→なんか武器をイメージしたら出てくるから
・どうしてコードネームをつけるのですか→なんか本名だと締まらないから(そうか…?)
怪盗団がやっていることはエゴにまみれている、それ自体は構わないと思う。ゲームの主人公だからって常に人助けをしなければいけない道理なんてない。常に最大多数の最大幸福に傅く必要もない。このゲームもそういった理念を貫き続けていればまだよかった。「自分たちのやってることがどう思われようが構わない、自分の大切な相手が喜んでくれればそれでいいんだ世間なんてクソくらえ」と。

…まあそうはならなかったんやけどなブヘヘ。他人の欲望を勝手に消すなんて賛否分かれる方法取っといて世間には全面支持されたいなんてそんなんアリ?ピカレスクの自覚が足らんのとちゃう?
そんなに皆に褒められたきゃゴミ拾いでもやってろよとしか言いようがない。同社作品のデビサバOCとかだとその辺ちゃんと書けてたのになあ。
一応まれーに「私たちのやってることって正義なのかな?」みたいなセリフが出ることには出るが「うーんそれしか方法がないから仕方ない本当に仕方ない」「俺たちの敵なんてどのみちろくな奴じゃねーんだ」「てことはうちらが正義ってことでいいんですね?改心決定ェ」で流される。こんな奴ら応援したくない。
ユングの提唱した理論の中にトリックスターと呼ばれる人格の型があって云々、アルカナの愚者はトリックスターとも捉えられて云々、的な事でやたらめったらトリックスターという語が連呼されますが、神話や劇上のトリックスターは大体破滅的な最期を迎えるものでしょう。カルメンは刺殺、五右衛門は釜茹で、ロキは毒の滴り落ちる洞窟で永遠の刑罰を。そこまでやってようやくトリックスターでは。トリックスターなのに正義の勇者サマのごとく信奉されたいです、というのがもう無理がある。信奉者も大半が生気のないモブ大衆だし、そんなのに祭られて嬉しいかね?
正義の勇者様をやりたいのかダークヒーローをやりたいのか、どっちかにしてくださいよ。人間一人一人がそれぞれの意見を持つシビアな世界で批判されながらも目の前の人だけを救うために戦う不完全なヒーローか、もう倫理も何もかも破綻した世界で好き放題するバカゲーか、どっちかに寄ってればまだよかった。都合のいい時だけ「ピカレスクだから悪で当然」「まだ高校生だから純粋なバカで当然」と、コンセプトはふらふら。
ざっくり言うと日和ってるんですよ。つらい世の中!ひどい大人!アトラスが描いたビターでリアルな世界へようこそ!これからどんな苛烈な展開が待っているのかー!?……なんちゃって!怪盗団は大丈夫なんです!みんなに認められて幸せになります!全員おともだちだよ☆みんな味方だよ☆頑張れ怪盗団!ほら嬉しいよね!何もかもおかしい世界だけど大正義の主人公たちが神を倒して世界を救うから嬉しいよね!ね!みたいなね。プレイヤーに適当に気持ちよくなってもらおうとするな……
P3P4は、立ち向かうことになる相手(影時間/マヨナカテレビ)も普通の人間には踏み入れられない超常的存在なんですよね。だから、こっちもペルソナという超常現象で対抗するぜ!っていうやり方でいいと思うんですよ。無気力症の原因を解決したい、殺人事件の犯人見つけ出したい、っていうのが目的なので、倫理的な瑕疵もない。
でもP5で立ち向かうのは何の特殊能力もない現実の人間。鴨志田以外は、わざわざ探し出した悪人たちでしかない。ただの人間に対して、認知世界という安全地帯からチクチク改心。バレなかったぜやったぜ打ち上げ。こんなのがヒーローだなんて言われても。

現実の問題は現実で何とかしろ、司法や警察は何やってんだ、というツッコミを避けるため、P5のシナリオライターはどうしたのか?答えは簡単、とにかく世界を歪ませる。バレー部員が雁首揃えて痣や包帯まみれで練り歩こうが誰も虐待だ体罰だと通報しない学校と保護者と周りのモブ達。通報したら退学処分受けるんですかね?どんだけ鴨志田と校長に権力あるんだ、あの世界は……
真一人であっさり乗り込める金城の居場所に、いつまでも辿り着けない警察。流石におかしい。班目の盗作も奥村のブラック工場も、今の時代ならSNS辺りで画像付きで告発すりゃ一発でしょ?怪盗団なんかいらないよ。
…って、言われたくなかったんだろうな、ライターは。だからモブを全員愚鈍なおバカにして、愚鈍なおバカに讃えられるヒーロー怪盗団で、プレイヤーにお気軽に気持ち良くなってもらおうとした。
ここまでやりたい放題するなら、主人公一行が全員懲役喰らって将来の夢への道も完全に断たれるけど怪盗団としてやったことは後悔してない…ぐらいのビターエンドじゃないと納得できないっつーか、なんならED後に全員ナレ死してもらっても私は一向に構いませんでしたよ。自分が悪だと思った人間には改心(笑)してもらわないと気が済まないんだもんなあ、じゃあ私は怪盗団の事極悪人の集まりだと思ってるからそうなってくれよ。まさか高校生だから許されるとか、なんなら主人公グループだから許されるとか思ってるわけじゃないでしょ?まさか自分達だけ罪と罰の世界から逃れられると思ってるわけじゃないでしょ???周囲が泥被ってるのに、怪盗団サマだけずーっと正義だ義賊だって清いままでいるのが、ひどく気色悪いんですよ。
「悪いと思う欲望を盗む」なんて解決方法を取るヤツらを、キレイキレイな正義の味方として扱うこと自体が、あまりに欺瞞に満ちすぎてますよ。コンセプトから破綻してるんだ、このゲームのシナリオは。お前の欲望マジ迷惑だから消すわあ…って何様なんです?まず手始めに怪盗団の自己顕示欲とヒーロー願望から消してみるのはどうでしょうか。
清濁併せてこそ人間でしょう。良い欲望と悪い欲望の線引きなど誰にできようか。「ボクならできます!」と思った人はよろしい怪盗団送りだ。じゃあ杏のモデル願望や祐介の絵への情熱なんて世の中の役に立たないから消しちゃっていいね、となってもだれも文句は言えないのだ。この世界では裁く側がいらない欲望だと切り捨てればそれは消してもいいものなんですよ、怪盗団自身がそうし続けているではないですか。
本来、善悪を決め(限られた裁量の中で)裁くのは司法の仕事であって、なんちゃってビジランテの仕事ではないのだが、P5世界だと異様に司法が矮小な無能にされ、自浄作用を持つはずの大衆(この定義もあいまいである)は0か100の意見しか持たない極端な一個の存在とされている。だから怪盗団がやるしかないんです!とか言われても、ねえ…。

作中の周囲を”馬鹿な存在”にしてようやく成り立つヒーローに価値を見出すのは作中の馬鹿たちだけだろう。この物語を見るのは作品の外にいるプレイヤーであることを忘れてはいけない。プレイヤーに「いやダメだろ勝手に善悪を決めたら」「この世界の司法と民衆アホすぎて現実味ないな」と思われてしまったら、どんなにかっこいいヒーローもただの道化でしょう?
大衆だけでなく、パレスのボス達もよくその程度の計画性でそこまでの地位に上り詰めたなと言いたくなる有名無実の小物の集まりで興ざめ。アホなヒーローが勝てるのはアホな敵だけだからね…
鴨志田改心は主人公竜司杏(+志帆やバレー部員)が直接的な被害者なので、当事者同士の戦いだと思えばまだいいかな。班目もまあお節介とはいえ一応知り合いの祐介やその他元門下生が目の前で被害者として存在しているので、止めたくなるのは分かる。
…金城以降はわざわざ悪人探しに行ってますよね?もはや。真なんてもう自分で被害者になりに行っちゃってるし。敵がいなけりゃ始まらない
P5Rで追加されたパレスボスは単なる悪役というわけではなく、また大衆が彼の作り出した世界に浸る理由もまあ納得のいくものではあった。ただP5のシナリオの粗はその程度で取り繕えるようなものではない。コンセプトの時点でダメなんだから。泥にニンジン入れてカレーになるか?ならない。
鴨志田編の聞き込みが終わったら二度と探索する必要のない校内、印象に残らないモブたち、怪盗団の話をするだけの校内イベント、常に誰かの陰口叩いてるヒソヒソ声…
学園モノである意味、どこへ!!現代日本である必要どこへ!!
というか、昼行動をコピペ授業で潰して労力削減しようとしてない?いつも同じ授業風景を映して放課後に投げ出されるだけの学校に何の思い出もない。
そして怪盗団のひとたちは常に怪盗団の話してないと死ぬの?マグロなの?学園祭とかもう激辛たこやき食った明智の声が謎に迫真だったことぐらいしか覚えてないんだよね虚しくない?
学内の施設は教室と図書室しか覚えてない。主人公、部活も入ってないし学内の友人も怪盗団除いたら一人もいないんで…。三島は友達じゃない

猫に行動のすべてを管理されるのもなんだかなー。
P4の時も番長が「明日は早いからもう寝よう…」とかほざいて夜行動をしないことがちょくちょくあり、チッうぜーなでも本人がそう言うなら仕方ないねと思って耐えてたんですけど今作は猫が勝手に決めてくる。もう主人公はモルガナを叩き出して自分で自分をマッサージして夜の街に繰り出せ。店とか調べても猫が「用ないだろ?」「今はそんなことしてる場合じゃないだろ?」とか言ってくるし!!それはプレイヤーが決めるの!!!
…まあこういう古臭いシステムを取ってるアトラスが一番悪いのであって主人公が言おうがモルガナが言おうが同様にムカつきますけどね。というか本当に何の意味があるんだこのルブラン軟禁システム。コープ数&人間ステータスと行動可能回数を天秤にかけた時、主人公の行動回数を制限しないとあっという間に攻略終わっちゃうな…的なことなんだとは思いますが。つまりボリューム不足をごまかし…ゲホゲホ(屋根裏の埃でむせる)
今作から入ったSNSシステムも常に怪盗団の面々に行動を見張られてるようで辛い。
パレス行きたい?メメントス行きたい?勝手に行けばァ?
何回そのお誘いメッセージ送ってくるんだよもういいって
あーはいはいさっき見たイベントのおさらいね、分かった分かった…
猫とSNSに拘束される主人公、ショートカット前提だからうろつく機会がほとんどなく終盤になってもどこに何があるか分からない街たち、長い長い説明セリフとこっぱずかしい選択肢、おかげで主人公に対して全く感情移入も自由度もあったもんじゃなく、「自分でプレイした」感が皆無でした。
個人的な波としては、
・カモシダ→なるほどなー、こうやって改心?をやってくのかー。アン殿の鴨志田シャドウに対する落とし所は見事やな…
・マダラメ→現実とパレスをリンクさせるなんて面白いなあ(襖のギミック)
・カネシロ→ハァ?ハァ?ハァ?なんか急におかしくなってない?
・フタバ→双葉のトラウマとか、心底どうでもいいを超えたどうでもいい。P4のダンジョンのクソショボいバージョン見てるみたいだぜテンション下がるなあ~
・オクムラ→ひでえ内容…この春とかいう女は心がないんスか?あとモルガナ帰ってこなくていいんだけど
・ニイジマ→改心の対象この人でいいの?ネタ切れしてない?
・ハゲ→いたね、こんな人も。”主人公くん”からしたら因縁の相手なのかもしれないけど、私からしたら何の感情もないっす…
・ラスボス周り→見てて恥ずかしい。ふーん結局最後まで持ち直しませんでしたねガッカリです
・マルキ→やりたいことは分かるけどここまでの破綻があまりに多すぎて素直に受け止められないしカレンダーの引き延ばし感がすげーよ所詮後付けっすね
という感じで、マダラメまではまだ楽しめてましたが、カネシロから一気にシナリオ的な楽しさが急下降し、そのまま一切回復しないまま坂を転がり落ちて、微妙なエンディングアニメ見て終わった。それだけです。
あとねぇ、イチイチ会話が長いんですわ。作戦会議(笑)のシーンは特にひどい。
例えば『AはBかも』程度の話でも
「よし、みんな集まったな!」
「作戦会議の前に、聞いてほしいことがあるんだけど」
「?」
「前に○○で見たもの…覚えてる?」
>なんのこと?
「もしかしてAのこと?」
「そう。ひとつ、気になることがあって」
「分かったぞ、××だと言いたいんだな」
「いや、ちげーだろ…」
「Aって、何かに似てると思わない?人の欲望によって姿を変えるもの」
>Bだ
「あっ!」
「あくまで仮説だけど、AはBを模している…もしくは認知世界におけるBそのものなんじゃないかしら」
「だとしたら、○○にAがあったのって…」
「ふむぅ…コレは確かめる必要がありそうだな、ジョーカー?」
>行こう
みたいな感じで、逐一すっげー長いんだよ!そしてこの言い出しっぺ役は大体真と双葉がやるからほかの連中いらないんだよ!主人公もいらないんだよ!選択肢も意味ないんだよ!飽きるんだよ長いんだよー!つまんねーもんを薄めてもつまんねーんだよ声優にギャラ払うためにゲーム作ってんのかよあーーーっ?
…すっげー長々と書きましたけど、要するにお話がつまんなかったのが一番の問題。倫理観がどうとか愛着がどうとか、正直言って心底どうでもいい。
ここでのつまらなかったの定義は、シナリオの先読みができてしまうこと。怪盗団の支持率が秋頃に最高レベルに上がって主人公たちも超絶調子に乗る、ってことはこの後何かしらあって怪盗団の支持率が下がるんだろうなって、誰でも読めちゃいますよね。
主人公が明智に頭撃ち抜かれて死んだ!?→なんとトリックでした!死んでません!っていうのがこのゲームの一番のビックリポイント?なんだろうけど、そんなことしたらゲーム終わっちゃうから死ぬわけないってメタ的に読めちゃうし、双葉が明智のスマホに飛びつくシーンでなんかしたのも分かりやすすぎ。あと警察は死体確認しろよ。また「おとなはみんなむのうなのでかいとうだんにだまされちゃいました」か。そればっかりか。

イゴールが偽物でしたっていうのもどんでん返し要素…なのか?
そもそも前作と比べてイゴールの言動がおかしすぎるから、コイツが偽物だっていうのはP3なりP4なりやってりゃ誰でもわかるわな。客人に対する扱いの時点でそれまでのベルベットルームの道義に背くし。声優変更に見せかけてシナリオの要だったっていうのが売りなんだろうが、ただの声優変更ならイゴールの口調まで変える必要はないって、フツーの脳ミソしてりゃすぐわかるから!ライターの得意満面の笑みにアグネヤストラぶちこんでやりたいわ。双子がラヴェンツァに戻されてるのを黙って見てるヤルダイゴールさんは、ホント、なんなんですかね…。
もーつまんない。投げたボールが地面に落ちたのを見て驚く人なんていない。P5Rのシナリオはそれと同じ。
とにかく「普通の頭してりゃ誰でも先読みできる」んですよ。創作物に対する経験値が極めて少ない子供しか楽しめない。だから幼稚だと感じてしまうわけです私的には。…アトラスのプレイヤー層、公式アンケートによると20~30代が6割を占めるらしいですが、アトラスには2歳児か3歳児ぐらいに見えてるんだろうか。じゃあ私もバブバブ~!